富良野市教育委員会は、昨年9月27日に行われた平成23年度全国学力・学習状況調査の富良野市の調査結果概要を公表した。それによると、全ての小学校(9校)の国語B・算数、中学校(7校)の国語B・数学の問題で全道平均を上回った。全体的に記述式・短答式の問題で正答率が高い傾向にあった。
富良野市では、授業時間と授業時間以外で特徴的な取り組みが行われており、児童生徒が学習をするための体制が確立しつつある。だが、同教委では「更なる学力向上に向けた取り組みとして、より一層の指導方法の工夫改善などを図っていく必要がある」としている。
同調査は小学校は6年生(237人)、中学校は3年生(232人)を対象に行われた。
富良野市では、全ての小中学校で朝読書など一斉読書の時間を設けていることから、児童生徒質問の回答をみると「国語の授業で文章を読む時、段落や話のまとまりごとに内容を理解しながら読んでいる」と答えた割合が、小中学校とも全道より高かった。本を読むことが正答率向上につながっていることが傾向として表われた。
しかし、小中学校の半数以上の児童生徒が「国語B―3の問題にあるような、長い文章を読むのは難しい」と答える一方、「難しいとは思わない」と答えた児童生徒数が正答数の多い層に偏っていることから、読書の成果に個人差があることが分かった。また自宅での読書時間が少なく、土、日曜の図書館利用の割合も少ない。
こうしたことから同教委では「各学校の学校改善プランには、朝読書の継続・読書の時間を増やすといった量的な方策と、全ての教科で役立つ様な読書の方法を考える。図書館との連携を強めるという質的な方策を取り上げ、改善を図る方針」という。
また市内小中学校における教科指導等の状況については「発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程により、理解への広がりや深まりを目指すため、習熟度別指導や少人数指導など、指導方法の工夫改善を更に図る必要がある」としている。
このほか、長期休業中や土日曜日等を活用した学習サポートでは、家庭学習内容の充実と習慣化を課題として挙げている。また、児童生徒の意識とその特徴では、学習意欲が全道に比べて高く、自分と社会の関係を意識できており、学習意欲を底上げしているということが分かった。
国語(A・B)の実施結果では、全体的に平均点が高く、基礎・基本の確実な習得を挙げている。しかし今後、話し合いの時間を増やす、限られた字数で自分の考えや感想を文章にまとめる練習を更に全市的に取り組む必要があるとしている。
算数(A・B)、数学(A・B)の実施結果では、算数Aでは「数と計算」「数量と関係」の区分では全道を下回ったが、「量と測定」「図形」では全道を上回り、全体の平均正答率は全道より高くなった。数学Aでは「数量関係」の区分で特に平均正答率が低かったが、数学Bでは全道を上回った。
同教委では「小中学校ともに発達や学年の段階に応じた反復による指導を行い、理解への広がりや深まりを更に図る必要がある」としている。
自殺予防ゲートキーパー 昨年11月から計3回の養成講座開く
富良野保健所は「自殺予防ゲートキーパー」の養成講座を昨年11月から開催しており、新年度に向けても実施し富良野地域の自殺予防に対して積極的に取り組んでいく方針でいる。同講座は計3回開催しており、保健所職員4人を含め延べ89人、実人員で54人が受講している。
ゲートキーパーとは、家族や地域、職場、保健、医療、教育等の場面で、自殺の危険性が高い人の早期発見、早期対応を図るため、身近な人の自殺の危険を示すサインに気付き、見守りや必要に応じて専門相談機関へつなぐなど、適切な対応を図る役割に期待する人材。同保健所は「富良野心といのち見守り隊養成講座」として平成23年度から初めて取り組んでいる。第1回目は昨年11月8日夜、富良野文化会館で開催。同日の講座では同所管内などの実態や「自殺の現状と対策」、「なぜ自殺対策なのか」をそれぞれテーマに、富良野保健所保健師と名寄市立総合病院心療内科・精神科医長が講義を行った。
2回目は同月15日、富良野市総合保健センターを会場に開かれ、実演(ロールプレイ)をかねて「自殺に関する相談への対応」をテーマに講義が行われた。出席したのは沿線の民生委員・児童委員や社会復帰施設、自助グループのスタッフ、住民ボランティア組織やNPOの職員。自治体職員など。
2回の養成講座を通して受講者から「傾聴の大切さに気付けた」、「実践に役立てることができる」などと相談対応の基礎的な知識について理解が深まり、「相談の受け方などもう少し理解を深めたい」、「さらに学習していきたい」などとの要望があったため、2月22日に3回目の講座が開かれた。
同日の講座では前回の学習を振り返りながら、自殺を思っている人への相談対応について、より具体的な支援が行えるプログラムとした。さらに今後のゲートキーパーとしての活動について話し合うグループワークも行った。
実演では言葉だけではなく、非言語的コミュニケーションの重要性や信頼関係を作ることが相談への第一歩ということを学んだ。だが実際の対応では、シナリオ通りの展開になることは難しいなどの感想が参加者から聞かれた。
また今後の対応として、住民と関係者(行政など)との情報の共有が大事、と確認し、ネットワークを構築して「きづき」、「つなぎ」、「見守る」という支援を行っていく必要性について話し合った。ゲートキーパーとなる人が「つなぐ」専門の相談機関について、正しく理解し情報提供を行っていくことも重要という意見も参加者から出ていた。
こうしたことから同保健所では、今後も自殺予防に関わる人材育成について、これまでの養成講座に参加した人たちを対象にしたフォローアップを継続し、新年度も引き続き学習の場を提供。さらに初めての人たちを対象にした養成講座(基礎研修)を実施する方向で検討している。
あす16日(午後1時)には、富良野地域自殺予防連絡会議が富良野保健センターで開かれる。市町村、消防、警察、司法、医療、教育、商工会など様々な分野の実務レベル者が出席し、地域の課題などについて話し合いを行うことにしている。
なお、同所管内の過去12年間(平成10~21年)の自殺者数は計181人に上っている。平成14年と21年が最多の20人。平成19年が最少の9人となっており、年間平均して14~15人。年代別で見ると40代が最も多く41人。次いで60代の33人、30代の27人、50代の25人などとなっており、10代が3人含まれている。
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