民間保育サービス会社が運営する自然体験開拓村「キッズコム・ファーム」の開村式が今月12日、南富良野町のかなやま湖に隣接した林野で行われる。
同社は、株式会社タクス・フォース(西山悟代表取締役社長、本社・大阪市)。総合子育て保育サービス会社として全国53か所に直営の保育施設、19か所にベビーシッターサービスの営業所を開設。企業や病院などから受託する事業所内保育所を展開し、生後2か月から10歳までの幼・児童約7000人の会員を有している。
さらに創業24年にわたる保育サービスと、同社独自の家族参加型体験プログラムのノウハウを通して、子供だけで参加できる最短3日間から最長30日のプログラムを用意した自然体験開拓村を南富良野町のかなやま湖畔沿いに開村することになった。
同開拓村は20年間に上る遠大な構想に基づいて運営される。敷地面積は約30万平方メートルで、東京ドーム約7個分の広さ。この敷地内にホストハウス、ショップ、レストランなどを建設し、このうちホストハウスが完成している。これまでに投入した事業費は1億5000万円。さらに今後3年間で同額の事業費で施設整備などを行う計画。
開拓村は、地ならし、道づくり、草刈りなどの「村の基礎をつくる開拓」、薪割り、かまどづくり、畑づくりなどの「生活のための開拓」、木の家づくり、わらの家づくりなど「住むための開拓」、森探検、木登り、丘スキーなど「自然を感じる遊び体験」、農作物を育て、木を植える、家畜を飼育するなど「生きる力強化体験」の5つの教育プロジェクトを設定し、厳しい自然の中で本物の体験を通じて、人間のもつ本来の「五感」を呼び覚まし、生きる力を身に付け、人として正しく強く成長できる場所を作り上げるのが目的。
今回、入村する児童は道内外から25人で今月19日から受け入れを開始する。開村式は正午から行われ、関係者多数が出席する。同社では「キッズコム・ファームは、一般的によくある整備された自然体験施設やキャンプ場ではなく、5~12歳程度の子供たちを主とした参加プログラムです」と話す。
自殺予防ゲートキーパーフォローアップ講座
富良野保健所主催の富良野地域「自殺予防ゲートキーパー」フォローアップ講座が7月5日、富良野市総合保健センターで開かれた。同講座は平成23年度からの継続事業。自殺予防に向け、地域における相談・支援活動を行う関係者のスキルアップを目指している。今年も民生児童委員や一般住民など富良野沿線5市町村から約40人が参加し、講演と演習(グループワーク)を通して知識を深め、ゲートキーパーとしての役割を改めて認識していた。
国内の自殺者数は平成10年から毎年3万人を超えていたが、昨年初めて3万人を下回り、2万7000人台に留まった。北海道でも前年より141人少ない1296人。富良野保健所管内では毎年10人から20人の自殺者だったが、昨年は10人を下回る7人。国が自殺予防に向け様々な形で取り組んできた事業の一つが「自殺予防ゲートキーパー」で平成18年から行ってきた対策がようやく成果を出し始めてきた。
はじめに北海道医療大学心理科学部臨床心理学科教授の富家直明さんが「高齢者への自殺に関する相談への対応」と題した講義を行った。富家教授は講演の中で、世界の高齢比率の推移や、超高齢期には身体・認知機能の低下が進む、正常老化の過程でも超高齢者の42%は要介護状態になるなどと話し、「年を取ることは幸福か」と指摘した。また、自殺防止対策の基本として「自殺の意志を確認する」「保護してくれる人の有無を確認する」「自殺をしないと約束してもらう」など5つを挙げ、さらに自殺願望者に対してのアドバイスとして「失敗は獲得体験」「不安と書いてやる気と読む」「怒りは挑戦のはじまり」の3つのマジックフレーズを紹介した。
この後、「これからの地域での活動について」をテーマに演習がグループごとに行われた。それによると「気付きの部分が大事であり、アンテナの感度を良くして、悩んでいる人がいたら気さくに話ができる環境づくりを」「顔の見える関係が大事で、そこから気付くこともある。ゲートキーパーはひとつの機関ではなく、様々な人が関わること、他職種連携型が大事。個々に今できることは何かを考える必要がある」「個人情報保護の問題もあり、地域の中で情報共有を図ることは難しいが、100人いたらサポートの方法は100ある」などと指摘した。
参加者からは「意見交換は様々な機関との話し合いであるため、とても参考になった」「役職の域を越えた横のつながりができると良いと思います」「気付き、つなげることが重要であることを繰り返し確認でき、専門職ではない一般住民がゲートキーパーとして役割が持てることに自信が持てた」と感想を述べた。
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