占冠村、北海道大学大学院環境科学院、株式会社星野リゾート・トマムの3者による「連携・協力に関する基本合意書調印式」が9月21日、占冠村総合センターで開かれ、①占冠村の自然を活かした科学研究②占冠村の魅力発信と経済の活性化③占冠村の魅力再発見と誇りの形成―を重点として今後、連携協力していくことを確認した。
今回の調印式は、一昨年3月、株式会社星野リゾート・トマムが「学術的知見に基づく雲海テラスの活用の可能性」に関する打診を北海道大学大学院環境科学院に行い、昨年4月、産学連携協定を締結したのに伴い、占冠村を加えた産官学連携協定に結びついたもの。調印式には、北海道大学大学院環境科学院の嶋津克明院長、株式会社星野リゾート・トマムの佐藤大介代表取締役総支配人、占冠村の中村博村長など3者と関係者計30人が出席した。
はじめに中村村長が「昨年4月、北海道大学大学院環境科学院と株式会社星野リゾート・トマムが連携し、占冠村の小学生を招いての『雲の学校』、『川の学校』、『雪の学校』の授業を行い、素晴らしい指導を行ってくれたことから、3者連携の申し出を行った。協力できることは自治体として大いに推進し、94%の森林に囲まれ、雲海や雪氷、源流など占冠村の魅力を発信し、北海道全体が一層飛躍することを願っています」などとあいさつ。
続いて嶋津院長が「環境科学院ではグローバルな研究を行っているが、地域に対しても重要な使命を考えている。今回の産官学連携を新たなステージとし、地域や社会で貢献できる人材の育成に努めていきたい」などと話した。また佐藤代表取締役総支配人は「2006年に雲海を観光の新たな目玉として発信したが、同年は600人のみだった。しかし昨年は6万人に上る入り込みで、今シーズンは9万人に上る。目標は100万人です。当社は世界一のおもてなしと地域の魅力開発を掲げている。地元を元気にするのが私たちのミッションです。この連携を大いに活かしたい」などとあいさつした。
この後、中村村長、嶋津学院長、佐藤代表取締役総支配人の3者が協定書に調印した。
続いて同科学院の山中康裕教授が、産官学連携協定の経緯と今後の取り組みについて映像を使用して説明した。
この協定に基づき、10月20、21日に「北大名誉教授小野先生と行くトマム・鵡川河口から源流を探る環境ツアー」が実施される予定。
このツアーでは地域の人たちをゲストスピーカーとして招き、鵡川流域の森と川の環境を見つめ直す。またエゾシカやししゃもなど地元の食材を使用したランチを予定している。
今後もこうした大学の専門性を活かしたツアー企画のほか、山岳気象、スキー場森林保全の研究、地域の学校教育など、企業、大学、地域が互恵関係を維持し、ともに成長していく取り組みを展開させていく方針だ。
ことぶき大学 開校40年を振り返る記念式典
富良野市ことぶき大学(学長・宇佐見正光教育長)の開校40周年記念式典が3日午前、文化会館で開かれ、本科、大学院の生徒約90人と関係者多数が出席して、同大学の40年間の歩みを振り返り、今後一層充実した発展を祈念した。
はじめに学長の宇佐見正光教育長が「ことぶき大学はこれまでに、富良野校、山部校、東山校合わせて延べ1296名の卒業生を送り出した。この間、本市のために献身的なご指導を賜っております諸先生を始め、大学を支えて頂いた関係者の皆様方に深甚なる敬意と感謝を申し上げる次第であります」と前置きした後、「教育は未来を築く礎であり、生きる力の養成であります。自らの健康に留意され、多くの学友と共に学び語り合い、これまで培ってきた豊富な知識と経験を生かし、心の豊かさと教養を高める中から、ことぶき大学生として多くの思い出を作られますことと、この歴史を末永く継承していくことを心からご祈念申し上げます」などと式辞を述べた。続いて同教育長が同大学発展に寄与した元学長の川島祐司さん、5年間専任講師を務めた宮崎元さん、15年間にわたりクラブ講師(料理)を務めた中村スミエさんの3人に感謝状を贈呈し、長年にわたる活躍の労をねぎらった。
この後、能登芳昭市長が「教育は行政の中で大きな柱となります。それだけに自ら若い人に伝承し、後輩に引き継いでいくかが大切です。健康に留意してさらに活躍して下さい」などと祝辞を述べ、在籍している大勢の学生に更なる期待を寄せた。
続いて、北猛俊市議会議長が、母親がことぶき大学で学んだことを取り上げ、「第2の人生をどうやって過ごしていくかという中で、母はそれをことぶき大学で実現することができた」などと感謝の言葉を述べ、ことぶき大学の果たしている役割に改めて期待を寄せた。
また、本間勲道議会議員も「小学校しか出ていない母親がことぶき大学で学んだことをとても喜んでいました」と前置きした後、「長生きの秘訣は夢を持つことだ」と101歳の医師日野原重明さんの言葉を引用して祝辞を述べ、同大学の一層の発展を祈念した。
これに対して川島元学長が「私は平成14年に学長に就任した。その時の在籍生徒数は、富良野、山部、東山を合わせて177人もいた。それだけに生徒たちの熱意をひしひしと感じることができた」などと前置きした後、「ことぶき大学で自分自身を一層高め、より充実した時間を過ごして下さい」と感謝の言葉を述べ、エールを送った。
式典終了後に、旭川医科大学病院緩和ケア診療部副部長の阿部泰之さんが「人生の花道の決め方」と題して記念講演を行った。この中で「自分のことを知ることが極めて大事。意志決定の支援トレーニングを行う、自分の考え方(価値観)を伝える」などと強調し、医師という職業を通して「死から、どう生きて行くかということを学び、自分を見直すことができる」などと、映像を通しながら示唆に富んだ講演を行った。
なお、同大学は昭和47年8月1日開校。第1期生は43人だった。同大学の入学資格は満60歳以上の市民。修業年数は本科が4年、大学院が2年、研究科1年の計7年に及ぶ。
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